耐震補強が必要な木造住宅とは?工事の方法や流れなど徹底解説
近年、日本各地で大規模な地震が発生しています。そのため、大地震に備えて耐震補強工事を考えている方も多いのではないでしょうか。
実は、日本の8割の家が木造で建てられています。今のお家での暮らしが長ければ長いほど、ご自宅の耐震性に不安を感じている人も多いのではないでしょうか。
ここでは、耐震補強が必要な木造住宅の診断方法や補強工事の方法と流れについて詳しく解説していきます。
大切な家族を守るために耐震補強が大切
大地震が発生した際に大切な家族を守るためには、住宅の耐震性が非常に重要です。令和6年に発生した能登半島地震では、地震の揺れによる住宅の崩壊で、命を落としてしまった方も多くいらっしゃいました。
このような大規模な自然災害は、決して他人事ではありません。地震が発生するタイミングがわからないからこそ、いつ地震が発生してもいいよう常に対策をしておくことが大切です。
そのための対策の1つが住宅の耐震性を上げることですが、その方法の1つに、耐震補強工事があります。耐震補強とは、耐震診断を受けたうえで、耐震性が不足している箇所を地震に備えて補強する工事のことです。
耐震補強工事を行うことで、大地震が発生しても家の倒壊を防ぎやすくなります。住宅の耐震性が心配な方は、大切な家族を守るためにも、まずは耐震補強工事を検討することをおすすめします。
耐震補強が必要な木造住宅とは?
住宅の耐震補強が必要か判断する方法として、住宅が建てられた年代を確認する方法があります。仮に、昭和56年5月31日以前に建てられた木造住宅だった場合、すぐに耐震補強が求められる場合があります。
昭和56年5月31日以前に建てられた家は、建築基準法に定める耐震基準が強化される以前の「旧耐震基準」によって建築されていました。耐震性が不十分である住宅が多いことから、多くの住宅で耐震補強が必要とされているのです。
もし、ご自宅が旧耐震基準で建てられた住宅の場合は、急いで耐震補強工事を実施することをおすすめします。
木造住宅の耐震補強の流れは?
木造住宅の耐震補強は、耐震診断の結果をもとに耐震設計を実施して、改修方法を検討していく方法が一般的です。ここでは、耐震補強の一般的な流れについて詳しく解説します。
耐震診断をする
耐震診断は、住んでいる木造住宅の耐震性を見極めるものです。耐震性が弱い箇所なども明確になるため、補強の度合いや必要性がわかります。
木造住宅では、上部構造評点という数値で表し、建物が地震に対してどのくらいの強度があるのかを把握します。上部構造評点による判定については、以下の通りです。
耐震診断には、補助金制度があります。補助金制度は、対象となる建物や住まいの地域によって条件などが異なるため、近くの市町村へ確認してみましょう。
耐震設計で改修方法を検討する
耐震診断を終えたら、診断報告書が手元に届きます。診断報告書とは、担当した診断士から、現状の耐震性能問題点を改善するための補強計画案や補強工事概算費用などが記載されているものです。この診断を元に補強の必要性の有無や補強設計を検討していきます。
耐震補強工事の方法とは?
耐震補強工事は、建物の土台となる基礎部分の補強や壁の補強、屋根を軽くする方法などがあります。ここでは、耐震補強工事で用いられる方法のうち、代表的な3つの方法について詳しく解説します。
基礎の補強をする
基礎とは、建物の最下部に位置し、建物全体を支える重要な土台部分です。屋根や壁が頑丈であっても、建物を支えている基礎の部分がしっかりしていなければ倒壊しやすくなります。
仮に、コンクリートの基礎にひび割れなどがある場合は、ひび割れを補修し耐震強度を高める作業が必要です。
木造住宅では、土台の木材が湿気やシロアリ被害で傷んでしまっている可能性もあります。シロアリは、湿気のある木材を好むため、湿度の高い床下を中心に発生しやすいため注意が必要です。シロアリによって土台が弱くなっている場合は、木材を取り替えて補修します。
壁の補強、増設をする
木造住宅の場合、骨組となる柱・土台・梁だけでは十分な耐震性を得られません。そのため、骨組み以外でも耐震性を高める工夫が必要です。
木造住宅の耐震性を高める方法として、新たに耐力壁を増やしたり補強したりすることで耐震性を高める方法があります。耐力壁とは、垂直方向と水平方向からの力に抵抗して建物を支える壁のことです。
耐力壁には、筋交いを使ったものや構造体用の合板を貼り付けるもの、ボードを下地とした「耐力面材」を耐力壁とするものなど、さまざまな工法があります。
また、耐力壁を設置する際は、建物に必要な耐力壁量などを計算する軸組計算による根拠を元に配置することも重要です。
屋根を軽くする
重量のある日本瓦や土葺き瓦の住宅は屋根が重たいため、地震の際に揺れやすくなります。そのため、もし重量のある屋根材を使用していた場合は、屋根を軽くすることで耐震性を高めることも可能です。
ただし、ただ軽い屋根材に変えるだけではいけません。屋根材にも数多くの種類があり、建物の特性や地域の気候条件に応じて使い分ける必要があります。必ず専門家の意見を取り入れて、最適な屋根材を選びましょう。
耐震シェルターを設置する
耐震シェルターとは、住宅の1階に鉄骨や木材の強固なシェルターを設置して、 大地震などの自然災害が発生した際に避難場所として使用するものです。
耐震シェルターについて、より詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
耐震シェルターのメリット
耐震シェルターのメリットは、住宅の大規模な改修などを行わずに、自宅内に安全な場所を確保できることです。自宅に住み続けながら工事を進められるため、住宅全体の改修を行うよりも手軽に設置できます。
耐震シェルターのデメリット
耐震シェルターのデメリットは、設置するためのスペースを確保しづらいことです。特に十分な広さがない住宅では、設置場所の確保が難しい傾向があります。また、シェルターのサイズや素材、設置場所によって費用が変動します。
木造住宅の耐震補強の費用はいくら?
木造住宅の耐震補強の費用は、具体的な条件や補強の方法によって異なりますが、一般的に数十万円から数百万円とされています。ここでは、耐震診断にかかる費用や木造住宅の場合の耐震補強の補助制度について解説します。
耐震診断にかかる費用
日本耐震診断協会の公式サイトによると、木造住宅の耐震診断料金は延床面積が120㎡程の木造住宅が耐震診断を行う場合の一般的な価格は、60万円~100万円と記載されています。ただし、設計図の有無や増改築の有無などによって費用が変動するため注意しておきましょう。
木造住宅の耐震補強への補助制度は?
自治体によっては、昭和56年5月31日までに家を建てた木造住宅の2階建て以下の建物を対象に、耐震補強への補助金制度があります。一般的には、築年数や建物の構造、建物用途によって耐震補強の補助金額が決定します。
また、自治体によっては、無償で耐震診断を実施している場合もあります。木造住宅の耐震補強を考えている方は、お住まいの自治体窓口に問い合わせてみましょう。
耐震性に不安のある木造住宅なら耐震補強を実施しましょう
木造住宅の耐震補強をお考えの方は、まず耐震診断を実施して、耐震補強の必要性について知ることが大切です。
木造住宅では、築年数の条件を満たしていれば、無料で耐震診断を受けられる補助制度があります。金額の補助については、住まいの地域の各自治体によって変わるため、確認が必要です。
耐震診断によって、耐震性の低い部分が明確になり、住宅のどの部分の補強が必要かがわかります。大幅な耐震補強が必要となる場合もありますが、そのような補強工事が難しい方は、耐震シェルターもおすすめです。
耐震シェルターはさまざまな種類がありますが、弊社のおすすめはSE構法の木質耐震シェルターです。耐震性は担保しながら、お部屋に馴染むデザインが特徴です。耐震補強工事と比べると比較的低いコストで設置が可能です。
耐震補強工事や耐震シェルターの設置をご検討の方は、ぜひお気軽にご相談ください。